ZZ MAGAZINE

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ハンドリングの黄金比
10.11.2013

 
前回、フェンダーアーチ が描くボディーの膨らみは、
スポーツカーに求められるワイドトレッドと関係していることを紹介しました。

今回は、そのトレッドに関する “ある比率” にスポットを当てます。

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その比率とは『 ホイールベース・トレッド比(W/T)』

文字通りホイールベース長とトレッド幅から導き出される数値で、
クルマの基本的な性格を示す指標の1つとして用いられるものです。

<ホイールベース長> ÷ <前後トレッド幅の平均値>
で算出し、その値が
1に近いほど 機動性(回頭性)が高く、
2に近いほど 安定性(直進性)を重視したハンドリングになると言われています。

では、実際にTommykaira ZZのSPECを用いて算出してみましょう。
ちなみにZZの場合、ガソリン車時代の車体も新しいEVも、
ホイールベース 及び トレッドの数値に変化はありません。

フロントトレッドが1,420mmで、リアが1,480mm。
よって、前後トレッドの平均は1,450mm。
ホイールベースは2,370mmなので、これを上記の数値で割ると…

2,370 ÷ 1,450 = 1.634(以下、切り捨て)

スポーツカーではおおよそ1.6〜1.7となることが多いのですが、
他のクルマのW/Tを計算して、比較するのも面白いと思います。

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絵画や彫刻などの優れた作品や、デザインの世界で意識されることの多い “ 黄金比 ” 。
美しいバランスの象徴として、よく芸術の世界で取りあげられます。

その黄金比の近似値は 1:1.618 です。

そう、ちょうど多くのスポーツカーが示す、ホイールベースとトレッドの比率に近いのです。

人が「美しい」と感じる絶妙なバランスと、
人が「心地良く」感じるドライブフィールとの間には、
どこか数学上の共通点があるのかもしれません。
優れた設計者ほど、知らず知らずの内に(あるいは経験的に)
『ハンドリングの黄金比率』を引き出すようなディメンジョン(寸法)を決定しているのではないでしょうか?

ガソリン車の時代から、優れたハンドリングとその乗り味を売りにしてきたTommykaira ZZ。
開発時にこだわった軽量化や低重心化、前後オーバーハング重量の軽減などの他にも、
こうした基本的なサイズSPECのバランスが、その操作性に大きく貢献しているはずです。

この比率をどのように感じるか、直接ハンドルを握って確かめてみてください。